僕が保育園に通っていた時のこと。ある日、友達のA君がこんなことを言い出した。
「俺、この前手術したんや」
自慢話である。手術とはすごいことで、俺はすごいんだとアピールしたいのである。
それを聞いていたB君が「スゲーぜ」と言った。
「痛くなかったか」
「いやっ、『ますい』っていうの打ったから大丈夫やったわ」
横から聞いていた僕は『ますい』って何だ?と思った。保育園児にはまだ麻酔という言葉が馴染みなく、知っている子は知っていたが、僕は全然聞いたことがなかった。さらに言えば『手術』という言葉もまだこの時は知らなかった。だがこの会話に出てきた二人は知っているようだった。
そんな僕は横から、
「ふん!僕なんか体ぜーんぶ手術したぞ」
と負けじと言った。
もちろん噓。ただの負けず嫌いのガキである。
A君は「ますい打ったんやろ?」
と普通の質問をしてきた。
麻酔を知らない僕は
「ますい何て打たんだわ」
い言い放った。
それらの話を聞いてぞろぞろと他の友達も集まってきた。
みんな僕を尊敬し始めた。
僕は何が起きているのか理解できなかった。
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