『ピースリーダーのストレス』第2話 全身手術

僕が保育園に通っていた時のこと。ある日、友達のA君がこんなことを言い出した。

「俺、この前手術したんや」

自慢話である。手術とはすごいことで、俺はすごいんだとアピールしたいのである。

それを聞いていたB君が「スゲーぜ」と言った。

「痛くなかったか」

「いやっ、『ますい』っていうの打ったから大丈夫やったわ」

横から聞いていた僕は『ますい』って何だ?と思った。保育園児にはまだ麻酔という言葉が馴染みなく、知っている子は知っていたが、僕は全然聞いたことがなかった。さらに言えば『手術』という言葉もまだこの時は知らなかった。だがこの会話に出てきた二人は知っているようだった。

そんな僕は横から、

「ふん!僕なんか体ぜーんぶ手術したぞ」

と負けじと言った。

もちろん噓。ただの負けず嫌いのガキである。

A君は「ますい打ったんやろ?」

と普通の質問をしてきた。

麻酔を知らない僕は

「ますい何て打たんだわ」

い言い放った。

それらの話を聞いてぞろぞろと他の友達も集まってきた。

みんな僕を尊敬し始めた。

僕は何が起きているのか理解できなかった。

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