小学校の頃は、最初は身体が小さくても途中で急激に大きなって一気に変身する奴がいる。
足が遅くて全然余裕で100m走やマラソン大会で勝っていたのに、身体の急な成長で一気に抜かれる時もある。
逆もありで、大きかった奴が早くして成長が止まり、「あれ、こんなもんだったっけ?」て奴もいる。
昔、僕の周りの友達でもそんな奴がいた。名前はタダヒロ君。
タダヒロ君は、小学校の時、しばらくはおとなしい子だった。
僕より身長は高いものの足は遅く、長距離も短距離も僕の方が早くて、大体のことは僕が勝っていた。
自分で言うのもあれだが、小学校の頃の僕は、まあまあ何でも出来る方だった。だからタダヒロ君にも何でも勝って当たり前だった。
タダヒロ君が変わったのは小学校高学年の5,6年生の頃からである。
身体にバネが埋め込まれたかのように足がめちゃくちゃ速くなった。
僕が余裕で勝っていた100m走が、全然追いつかなくなった。
みんなが驚愕したのは、ある日の体育の授業で行われた走り幅跳びである。
みんな3m行くか行かないかぐらいを平均で跳んでいたところを、タダヒロ君は1人3m後半を跳び、その場がどよめいた。ちょっと前まで3mも跳べてなかったタダヒロ君が、である。
急激な成長を目の当たりにし、そのジャンプの日からタダヒロ君のあだ名は「カエル」になった。
それでもまだ、タダヒロ君の進化は止まらない。
顔にも変化が訪れる。妙なぶつぶつが現れ始めたのである。
そう、ニキビだ。
そして力もついてくる。腕力もグンと上がり、ちょっとずつ乱暴者になってきた。
周りの友達を追いかけまわし、パンチをし始めた。足は恐ろしく早くなっていたので誰も逃げ切れず、タダヒロ君の餌食になった。
そして中学に入って出来たあだ名は「ゴリラ」。周りから恐れられていた。
が、人気があった。殴られるとめちゃくちゃ痛かったが、みんな笑っていた。時々タダヒロ君がやりすぎて友達を本気で怒らせてしまったら、タダヒロ君は本気で謝っていた。
「ゴリラ」にはなってしまったが、周りから愛される優しいゴリラだった。
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